随想「武道と試合」

先日の忘年会で黒川先生とお話をしまして、以前からもやもやした思いを抱いていた件について、ハッと我が意を得たお話があったので、紹介したく思います。

先生は武道歴が長く、他武道の方々ともお付き合いがあります。先日とある武道の競技に合気道の視点から審判をしてほしいという依頼があったそうです。他の武道の先生方にも声がかかっているのでしょう。それを聞いてなかなか面白い試みだなと思ったのですが、先生は断るつもりでいるそうです。理由を聞いたところ、以下のようにおっしゃっていました。

武道の勝負は本来主観的なものであって客観的なものではない。自分が一本を食らったか否かは自分でわかるものだし、その時は潔く「参った」と言えなければならない。ましてや判定への異議申し立て制度など・・・本来の意味において言えば、審判は審判ではなく立会人である。

とは言え、ただ断ると言うのも失礼だから、以下の点を認めていただけるなら請けてもよいかと思う。

  • 相手の有効打突についての自己申告制であること。
  • 審判は自己申告に対し、「今の打突は有効ではない」と申告を却下する権限を有すること。

まさしく武道の姿だと思いました。

精進あるのみですね。