随想「丹田」

正中線と並んで武道で重要性の説かれるものとして、「丹田」があります。

主に言われる丹田はヘソ下3寸から体内にさらに3寸入り込んだ場所にあるといわれますが、これは「下丹田」と言われるもので、そのほかに眉間の「上丹田」、胸の奥の「中丹田」もあるそうです。経絡の考えでも重要と言われ、インドヨーガのチャクラとも通じるともいわれ、武士の切腹はこの重要な個所を断つ意味があるともいわれ・・・。なんにせよ様々な分野で重要さが説かれます。

しかし、解剖学的には丹田と呼ばれる臓器はありませんし、その箇所にも特に何もありません。もちろん、目に見えるものがない、測定できるものがないからと言って意味がないといっているわけではありません。それは随想「観る目」でも少し触れたことです。

私も丹田は大切だと教えられてきていますし、丹田を意識して技を行ったり、逆に意識せずに技を行ったりして、その意味・正体を探ろうとしてはいます。しかし、あまり芳しくありません。むしろ、あまり意識していないときのほうがうまくいくことが多い・・・気もします。

ただこれは随想「言葉とイメージ」でも書きましたように、教えられてきたことに意味がない、間違っているというわけではなく、教える側(師範や先生)と教えられる側(私)の間でうまくイメージが伝わり切っていないのだろうと思っています。師範も「月を見よ、指にとらわれるな」と、お釈迦様の言葉を常におっしゃっています。

精進あるのみですね。