随想「言葉とイメージ」

みなさん、色の「あお」と聞いて、どんな色を思い浮かべますか?若い人は英語でいうところのBlueをイメージするでしょう。青空の色です。ですが、ある程度以上のお年寄りですと、Greenをイメージすることがあります。青葉の色です。新緑の青です。

他の例ですと、動物の「ムジナ」はどうでしょう?ある地方ではアナグマのことを指しますが、ある地方では狸のことを指します。両方をまとめてムジナと呼ぶ地方もあります。また、ムササビのことを「もま」という地方もあるそうです。これも同じように、もまがムササビだったり、ムササビがもまだったり・・・。

さて、我々が嗜んでいる武道でも、流派によっては「型」と「形」を同じものと考えたり、別物と考えたり、さらには逆の意味で使ったりしている場合があります。

人々が使う言葉。それは、「何かを伝えようとして紡ぎ出されたもの」です。我々が知るべきは、その「何か」であって、説明に使われた「言葉」そのものではありません。表面的な違いにとらわれてはいけません。逆もまた真なり。表面的に同じ・似ているように見えても、中身が全く異なるものもまたあるのです。

俗に言う、「色眼鏡」「偏見」「思い込み」というものです。

お釈迦様のありがたい言葉でいう「指月の喩え」と言われるものです。

精進あるのみですね。