随想「高知県合気道連盟40周年記念」

先日10月6日に高知県立武道館にて、高知県合気道連盟の40周年記念特別講習会・演武会があり、植芝守央道主による講習会がありました。
道主の講習会を受けられる機会など、そうそうありません。迷わず参加してきました。

特別講習会・演武

講習会では、入身や転換、丸い捌き(転回足)の基本的な動作を行い、合気道の技は全てこれらの動きと呼吸力とが繋がり、変化することで成り立っているという解説でした。どの技をするときも、そこを繰り返して強調しておられました。最後の総合演武でもその解説のままに全ての技が成り立っていて、まさに、合気道の教科書、迷ったら振り返るべき手本だと感じました。

そしてこれは個人的に目を皿にして観察して感じたことですが・・・

  • 手が自分の正面から外れない。体側に来るタイミングがあっても、中心・正面とつながっている。
  • 手足、体が全て同調していて、どこかが先に動いて他の部分が後から付いてくるなどということがない。
  • 丸い動きに見えるが、それらを支える身体の動き・軌跡は表面的に見える丸い動きとは裏腹に、直線的である。
  • それらが全て同時に達成されているが故に、総体としてドタバタとした動きにならず、むしろほとんど動いていない様に見える。
  • 気がつくと、体がひと調子に変化していて、どこかを見ようとすると、他が見えなくなる。見逃してしまう。順序立てて目で追えない。

といったところを感じました。

裏方のこと

連盟の先生方は皆さん何かしらの係をされていて、いつも稽古でお世話になっている武産合氣凌雲館の舛田先生もタイムキーパー・司会などを担当されていて、お忙しそうでした。やはりこういうイベントは、段取りや役割、仕込みが成功の9割を占めると言いますから。みなさんのご尽力あっての盛会であったと思います。参加させていただけて感謝です。

しょっぱなからマイクが壊れる様など見て、PA(ライブの音響)をやったことのある身としては、自分のことでもないのに冷や汗をかいてしまいました・・・。

自分もこうした場で何か任されたら、どう振る舞うかなぁ・・・とちょっとシミュレーションしたり・・・。

講習会に臨む態度

個人的にはここからが本題ですが、私はこうした講習会の際は、必ず講師の先生や、他所から参加している先生方に積極的に掛かっていく様に心がけています。
特に今回は、道主に掛かれるかもしれない、またとない機会です。

示演の際はできるだけ前に陣取り、自分に一対一で教えてくれているんだという気持ちと目線で解説を聞く。道主の動かれる先をみて、声がかかりやすそうな位置で稽古する。そして、横にきていただいた時にすかさず稽古を申し出る。
(ちなみにこの場所取りの感覚はまさしく合氣道で培われる能力です。いるべき時にいるべきところにいるという能力です。結構大事ですよ。)

いつもその様に心がけていて、今回もそれが功を奏して?2・3度技を掛けていただきました。小手返し投げと天地投げでした。

こちらから申し出たのは一度ですが、やはり一度前向きな気持ちを拾っていただくと、次、近くに来た時に、目に留まりやすいのかもしれません。2・3度目はまさにそんな引き合わせで稽古をいただきました。

ふと、「道主にはこちらから声をかけてはいけない。声がかかるのを待つしかない。」という暗黙知・ノウハウを聞いたことを思い出しましたが、その話を聞いたのは本部の稽古の話をしていた時でしたし、今回はローカル(というと怒られますが)な場に来ていただいてのことですから、あえて積極的にいかせていただきました。

しかし、周りを見ると、最近の学生くらいの年頃の稽古者は、そうした貪欲さが無いというか、控えめな方が多い印象です。
今回道主が近くに来てくれた時、一緒に組んでいた大学生と思しき人に「ほらほら、投げてもらいなよ。」と言っても、遠巻きに観ているだけでした。これはもったいないです。

特に、田舎で合氣道をやっていると、道主の手を取れる機会なんて、一生に一度あるかないかです。(まあ、合氣道に限らずありとあらゆるお稽古ごとに言えることですね)
仮に、先ほど言った暗黙知が本当だとしても、私としてはもう、「行くしかない!行かない理由がない!」といった気持ちでした。

幸運の女神は後頭部がハゲてる

チャンスは来た時に自分で掴まないと、後からでは取り戻せないということを表したことわざです。
まあ、本当はハゲてるではなく、「前髪しかない」といいますが(笑

まとめ

道主の講習・演武、その他各地の師範方の演武を一堂に観れて、大変学びの多い講習会でした。
日々の稽古に生かしていきたいと思います。